【スイートココア バル】
古代文明ではチョコをプレゼントして愛を伝えていた?商人であるバルは、このビジネスチャンスを見逃さなかった。
恋に堕ちた少女が好きな人にチョコを送りたいのなら、手段を選ばないと考えたからだ。
そして魔界は宣伝で洗脳され、あちらこちらでラブラブなカップルが見受けられるようになった。
商会の主であるバルもこの波に乗り、新たな衣装に身を包んではムードを最高潮に押し上げたのだ。
バルは誰もが振り返ってみてしまう、小悪魔的なチラリが可愛いセーターに身を包んだのであった。
「どう?この服。デートしたくなったんじゃない~?」
【キラーココア サタン】
愛は掠奪と征服を美化した言い方であり、真の魔族は鮮血と死を以て愛を伝えるべきである。
そして意外なことに、チョコレートの味は命の消える刹那に味わえる鮮血と同じ甘さだという。
ふむ。つまり死と甘さが交わったときにこそ、最高の価値が生まれるのではないだろうか。
そんな考えを持ったサタンは、魔王の専属メイドとなり、愛する『ご主人様』に代わって、最強の致命的なスイーツ狩りに……
だが彼女のプレゼントには気を付けた方がいい。一つのチョコレートがあなたの命を奪うかもしれない。
「砂糖よりも死こそが最高の調味料よ。そう思わない?」
【ピュアココア イブリース】
チョコレートを贈って愛を伝える?バルはイブリースがこんな商売根性丸出しの噂を信じるとでも思ったのだろうか。
だが当のイブリースは、胡散臭いと言いつつもチョコレートの材料を準備し、乙女心を露わにしてチョコを作り始めたのだ。
彼女曰く、他の人たちが皆プレゼントを贈る中、自分だけ贈らないのは失礼だかららしい。
自分が正室であると主張する彼女は、最高級且つ最高の味のチョコを贈らないといけない。
そしてシーザーへのプレゼントは礼儀であって、決してシーザーの反応を見たいからではないそうだ。
そんな料理の経験がないお嬢様はバレンタイン当日、顔を赤らめチョコを差し出しながらこういった。
「このチョコレートはあなたの為に作ったわけじゃないわ。ただスイーツ作りの練習をしたくなっただけよ。勘違いしないでくださる?」